良く問い合わせをいただく項目について、医師の側からみたアドバイスをまとめてみました。
医師になかなか聞きづらくて…
医師と話すのは緊張するものです。会う前にはいろいろと聞きたいことがあったはずなのに、診察室に入ったとたんに忘れてしまうことがよくあります。聞きたいことが出てきたときに、箇条書きでも何でも良いのでメモをしておくことをお勧めします。
「こんなことを聞いても良いのかなぁ?」と思うことがあるかもしれません。自分が思っていることや感じていることを、言葉にして相手に伝えるのは難しいことですが、診察はその練習の場と考えて、思い切って医師に尋ねてみてください。
わからないことがいっぱいで…
医師は普段から病気や薬のことを扱っているので、ついつい専門用語を使って説明してしまいます。聞きなれない言葉や意味の分からない用語を耳にした時は、「それはどういうことですか?」、「よくわからないのですが」と尋ねてください。もう一度、できる限りわかりやすい言葉を使って説明させていただきます。
聞いたことは忘れてしまいがちですので、診療の中で大事なことは、「(患者さん用の)カルテ」として印刷してお渡ししようと思います。説明してもらった内容を印刷してほしい場合は、遠慮なくお申し付けください。
なかなか良くならないのですが…
精神科・心療内科の病気は、ほとんどが「慢性疾患」に分類されます。治療薬が合っていても、効果が出てくるのに1~2週間かかることが多いですし、症状そのものが出なくなるのに数か月かかる場合もあります。さらには一旦よくなった後に、また症状が出てきてしまうこと(=再発)もあります。それでもなかなか良くならない場合は、いろんな理由が考えられます。
- ・診断が間違っている
- ・薬が合っていないか、十分な量使っていない
- ・元々治りにくい病気
- ・何らかの理由で治りにくい状態に陥っている
こうした状況の場合は、ご本人とだけでなく、ご家族や周囲の支援者とも一緒に考えて知恵を出し合っていきたいと思います。
「なかなか良くならないなぁ」と疑問に思った場合は、思い切って医師に尋ねてみてください。
通院先の変更や紹介について
治療がうまくいっている時は良いのですが、なかなか良くならない時には色々と悩みだしてしまうと思います。「医者を変えたらうまくいくのではないか?」と考えることもあるでしょうし、周囲から「医者を変えてみたら?」と勧められることもあると思います。そういった時には、医師に相談してみてください。
「違う治療法がないのか?」、「別の薬はないのか?」などです。
そうした思いにも答えてもらえず、納得ができないのであれば、別の医師の意見を聞いてみること(=セカンドオピニオン)が良いかもしれません。その場合は医師に申し出て、今までの治療の経過(過去に使用した治療薬の効果や副作用、治療上の問題点や意見)などを診療情報提供書(=紹介状)として出してもらってください。それを持って別の医師の意見を聞いたうえで、「通院先を変えたほうが良い」と感じた場合は、改めて転医のための診療情報提供書を出してもらってください。
面倒くさいと思うかもしれませんが、再度その医師に診てもらう可能性もありますし、医師を変えるのは最後の手段として、慎重にすべきだからです。